旅を歩く

街道を歩いた記録です。興味ある方はご参考に。

第6回 四国お遍路 室戸岬から北上する。

 文中に出てくるガイドブックとは JTBパブリッシングの「大人の遠足シリーズ 四国八十八ケ所を歩く」のことです。

 室戸岬編の3日目。今日は室戸三山と神峯寺を回ります。

  朝食後 7時半に岬観光ホテルを出発。もう一度 御蔵洞(みくろど)へ行ってみたが、朝早いので南京錠がかかっていて入れませんでした。灯台へ登る道が遍路道です。これを上がって行きます。3年前に一度来たはずでしたが、今回はとても長く感じました。亜熱帯なので植物群が独特です。

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 30分ほど登り続けて24番札所 最御崎寺(これで「ホズミサキジ」と読む)に到着。参拝者は私を含め3人。私以外は車で来ていました。土曜日でしたので休日を利用して回る現地の方のようです。きちんとお遍路の服装でした。f:id:tanemaki_garden:20211222154723j:plain

 境内にはヤッコソウの群落があると看板が立っています。今は冬なので枯れたものしか見れません。葉緑体を持たず腐食の栄養だけで生きている植物です。

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 ここからスカイラインのくねくね道を降りて、国道に平行した田舎道を北上します。海の向こうの陸地の影は足摺岬でしょうか。

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 途中 南海トラフ地震による津波を想定した避難タワーがいくつもありました。なお、お寺は全て山の上にありますので津波の心配はありません。

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 25番札所 津照寺(これで「シンショウジ」と読む)まで約7km。1時間半ひたすら歩きます。津照寺は元々は漁村の守り神だったようです。長い石段があります。

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 26番札所 金剛頂寺までは約4km。最後は例によって山道の登りです。

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 26番札所 金剛頂寺 おばさんたちが大掃除を始めていました。

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 ここから奥の院でもある不動岩までの近道がわからず、結局 登ってきた遍路道を降りて海岸通りを進みました。不動岩は海岸にあるので、この道を行けば必ず着きます。しかし、遠回りだったので予定していたバスに乗り遅れました。

 途中で振り返って見た室戸岬です。最御崎寺から降りてきたスカイラインのくねくね道が見えます。いつもながらよく歩いたと自分に感心します。私にとって室戸岬はとりわけ印象深い所です。また来ることはあるだろうか、とちょっとしんみり。

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 番外霊場 不動岩に着いたのは12時頃でした。明けの明星が口の中に飛び込んだとの幻想を空海が見たのは、御厨人窟(みくろど)ではなくてここではないかとの説があります。当時は海面が今よりも高かったので御厨人窟では海に近すぎてい、いくら空海でも座っていることはできなかったろうと言うのが理由です。ここでジャムパンをかじって昼食としました。

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 ここにも洞窟があります。

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 別の角度から見た不動岩です。

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 ここからバスに乗って奈半利(なはり)駅に行き、鉄道で唐浜(とうのはま)駅まで行き、26番札所 神峯寺(こうのみねじ)を目指します。この日 12月18日は今期最大の寒波が襲来。本来は亜熱帯のはずの室戸地方も寒風が吹き荒れました。歩いているうちは暑くて大汗をかくのですが、バスを待っているとその汗がビシビシと冷えてものすごく寒い。

 唐浜(とうのはま)駅からしばらくの間は大規模農道の緩やかな坂を登って行きます。この周りの地層には貝の化石がたくさん含まれているようで、おそらく小学生の遠足用でしょうが、自由に掘っても良い広場もありました。当然ですが使って良いのは小さなシャベルだけ、大型スコップなどの使用は不可です。道路わきの土にも白い貝殻が見えます。

 途中から強烈な山道になります。「まっとう」と呼ばれる遍路道です。おそらく「まっすぐ登る」と言う意味でしょう。唐浜駅から神峯寺まで距離は4km程度ですが、この登りがあるので1時間半はかかります。車道をそのまま登って行くこともできます。距離はかなり長くなります。

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 遍路道にあるつぼ型の石碑。他のところでは見られない形です。「同行二人」と書いてあります。

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 やっとのことで27番札所 神峯寺(こうのみねじ)に到着。ここも神峯神社とセットになっています。神社は寺よりもっと高い所にあるので省略。寒風吹かれる中で衣類は汗びっしょり。こういう時の体調管理の仕方がわかりません。ともかく一度衣類を脱いで汗を拭いて着直しました。

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 参拝者は5~6人いました。もと来た道を引き返して唐浜駅に着いたのは4時半ごろ。次の電車は5時21分までありません。駅の待合室には暖房が無く、汗が冷え切って低体温症を心配しました。安芸のホテルに投宿。ともかくバスタブの湯に浸かり体温を上げて生き返りました。

 室戸岬は唐に渡る前の弘法大師 空海が修行した場所です。空海の超人伝説は四国各地に残っていますが、信憑性に疑問符がつきます。しかし、室戸岬のどこかの洞窟に空海が座っていたのは事実でしょう。旅の楽しみは想像力を働かせることにもあります。八十八カ所のうちどこがいいか?とよく聞かれます。今のところ室戸三山(24番~26番)と3洞窟(御厨人洞、観音窟、不動岩)を勧めます。前泊して(当然 岬観光ホテル)1日で回り奈半利から高知市まで帰ることは可能です。(私は27番 神峯寺まで一気に回りましたが、相当無理があるので、一般にはお勧めしません。)

 これで年内の旅はおしまい。来年早々また高知に来ます。